実家じまいとは?何から始める?7つの手順と費用、遠方でも進めるコツ

引き戸と窓のある空っぽの和室 実家整理の基本

「そろそろ実家のこと、考えないといけないよね」。そう思いながら、何から手をつければいいのか分からず、気づけば数か月、数年…。実家が遠かったり、仕事や子育てで手いっぱいだったりすると、なおさら後回しになってしまいますよね。

押し入れいっぱいの荷物、親が大事にしていた車、遠くのお墓、伸び放題の庭。考え始めると、やることの多さに気持ちが重くなるのは当然です。でも、実家じまいは一度に全部を片付けるものではありません。順番さえ分かれば、一つずつ進めていけます。

この記事では、実家じまいとは何か、何から始めればいいのかを、7つのステップで整理します。費用の目安や、遠方に住んでいる場合の進め方、先延ばしにしたときのリスクもまとめました。

読者

「実家じまい、気にはなってるけど…何から始めたらいいのか、全然分からないんです」

この記事で分かること

  • 実家じまいの意味と、始めるタイミング
  • 何から始めるか:7つのステップ
  • 片付け・解体・売却にかかる費用の目安
  • 遠方に住んでいても進めるコツ
  • 先延ばしにすると起きること

実家じまいとは?

実家じまいとは、親が住んでいた家(実家)を、売却・賃貸・解体・管理などの形で整理し、片付けることです。家の中の荷物だけでなく、名義や相続の手続き、車やお墓、庭の手入れなど、実家にまつわるものをまとめて整理していく取り組みを指します。

似た言葉に「生前整理」や「遺品整理」がありますが、少し意味が違います。

言葉 主に誰が・いつ 主な内容
実家じまい 子世代が、親の施設入居後や死後に 家そのものの行き先(売る・残す・貸す)と、その周りの整理
生前整理 本人(親)が元気なうちに 自分の持ち物や財産を整理する
遺品整理 遺族が、亡くなった後に 故人の持ち物を片付ける

実家じまいを考え始めるタイミング

実家じまいに「正解の時期」はありませんが、次のようなタイミングで考え始める方が多いです。

  • 親が施設に入った、子どもの家に引っ越した
  • 親が亡くなり、実家に誰も住まなくなった
  • 親が一人暮らしになり、家の管理が難しくなってきた
  • 固定資産税や管理の負担が重く感じるようになった
  • 近所の方から、庭や建物について連絡が来た

親が元気なうちに話し始められると、親の希望を聞きながら進められるので、後悔が少なくなります。とはいえ、親に「家をどうする?」と切り出すのは勇気がいりますよね。

家族へ

「最近、帰るたびに家のことが気になってて。まだ何も決めなくていいんだけど、お父さんとお母さんがこの家をこれからどうしたいか、一度ゆっくり聞かせてもらえない?」

「片付けよう」「売ろう」ではなく、「どうしたいか聞きたい」という伝え方だと、親も話しやすくなります。

実家じまいは何から始める?7つのステップ

実家じまいは、おおまかに次の順番で進めます。全部を一気にやる必要はありません。今の状況に合わせて、できるところから始めましょう。

  1. 家族で話し合う
  2. 名義と書類を確認する
  3. 相続の手続きを進める(親が亡くなっている場合)
  4. 家の中を片付ける
  5. 車・お墓・庭など、家の周りを整理する
  6. 家をどうするか決める(売る・貸す・残す・解体)
  7. 税金や手続きを確認して完了

ステップ1:家族で話し合う

最初にやるべきなのは、片付けでも査定でもなく、家族の気持ちを聞くことです。きょうだいがいる場合、一人で進めてしまうと「勝手に決めた」とトラブルになりやすいからです。

話し合いでは、次のことを確認しておきましょう。

  • 誰が中心になって進めるか(窓口役)
  • 実家を残したいか、手放したいか、それぞれの気持ち
  • 形見として残したい物
  • 費用をどう分担するか

意見が合わなくても、その場で結論を出さなくて大丈夫です。「次はいつ話そうか」と、次の一歩を決めておくだけでも前に進めます。

ステップ2:名義と書類を確認する

実家の土地・建物の名義が誰になっているかは、法務局で登記事項証明書を取ると分かります。親の名義のままのことも多く、祖父母の名義のまま止まっているケースもあります。

  • □ 登記事項証明書(法務局で取得)
  • □ 固定資産税の納税通知書
  • □ 権利証または登記識別情報
  • □ 家を買ったときの売買契約書
  • □ 火災保険の証券
  • □ 車検証(車がある場合)
  • □ お墓の使用許可証(お墓がある場合)

ステップ3:相続の手続きを進める(親が亡くなっている場合)

親が亡くなっている場合は、相続の手続きが必要です。特に不動産は、2024年4月から相続登記が義務になり、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。

手続きの順番は親の家を相続したときの手続きの順番で、自分でやるか専門家に頼むかの判断は相続手続きは何から?自分でやる・専門家に頼むの判断基準で詳しく解説しています。

ステップ4:家の中を片付ける

実家じまいで一番時間と体力を使うのが、家の中の片付けです。何十年分もの荷物を前にすると、手が止まってしまいますよね。

読者

「帰るたびに少しずつ片付けてるけど、全然終わらない…。思い出の物を見ると捨てられなくて」

無理に全部を自分でやろうとしなくて大丈夫です。次のように分けて考えると、気持ちが少し楽になります。

  • まず貴重品と重要書類を探す:通帳、印鑑、権利証、保険証券、年金関係の書類
  • 残す物を先に決める:写真、手紙、形見などを先に箱に分けておく
  • 売れる物は査定に出す:古銭や記念硬貨、骨董品、貴金属などは、捨てる前に価値を確かめる
  • 量が多ければ業者に頼む:遺品整理や不用品回収の業者に頼むと、数日で終わることもあります

古銭やアルバムが出てきたときは、実家から古銭アルバムが出てきたら?も参考にしてください。

ステップ5:車・お墓・庭など、家の周りを整理する

家そのものと同じくらい悩みやすいのが、家の周りのものです。

ステップ6:家をどうするか決める

片付けと並行して、実家そのものをどうするかを決めます。主な選択肢は4つです。

選択肢 向いているケース 注意点
売る(仲介) 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい 売れるまで数か月〜1年以上かかることも
売る(買取) 早く手放したい、古い家・荷物が残っている 価格は仲介より下がりやすい
貸す 立地がよく、家の状態も良い 修繕費や管理の手間がかかる
残す(管理する) 将来住む予定がある、まだ決められない 固定資産税や管理の負担が続く
解体して土地にする 建物が古く、そのままでは売れにくい 解体費がかかり、更地は固定資産税が上がる場合も

どれを選ぶにしても、まず「今いくらくらいの価値があるか」を知っておくと判断しやすくなります。査定は、売ると決める前でも頼めます。詳しくは相続した実家を売るときの流れをご覧ください。

相談先へ

「実家の今後を家族で考えています。まだ売るかどうかは決めていないのですが、今の状態でどのくらいの価値があるか知りたいです。古い家で荷物も残っていますが、査定していただけますか」

ステップ7:税金や手続きを確認して完了

家を売った場合、利益が出れば確定申告が必要です。親が一人で住んでいた古い家を相続して売る場合、条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(相続人が3人以上なら2,000万円)。適用期限は現行制度では2027年12月31日まで。使えるかどうかは税務署や税理士に確認しましょう。

水道・電気・ガスの解約、郵便の転送、火災保険の見直しなども忘れずに。空き家として残す場合の注意点は実家が空き家になったら最初にやることにまとめています。

実家じまいにかかる費用の目安

費用は、家の広さや荷物の量、地域によって大きく変わります。あくまで目安として参考にしてください。

項目 費用の目安
家の中の片付け(業者) 数万円〜数十万円(荷物の量と間取りで大きく変わる)
建物の解体(木造) 1坪あたり数万円程度(立地や構造で変動)
相続登記(司法書士に依頼) 報酬と登録免許税などで数万円〜
不動産の売却(仲介) 仲介手数料(法律で上限あり)
車の処分 業者によっては無料、買取額がつくことも
墓じまい 撤去工事や改葬先によって数十万円〜

費用を抑えたいときは、複数の業者から見積もりを取ることが一番の近道です。また、自治体によっては、空き家の解体や改修に補助金を出しているところもあります。実家がある市区町村のホームページを確認してみてください。

遠方に住んでいても実家じまいを進めるコツ

読者

「実家は新幹線で3時間。年に数回しか帰れないのに、片付けなんて終わる気がしません」

遠方からの実家じまいは本当に大変です。でも、工夫次第で帰省の回数を減らせます。

  • 帰省1回ごとにテーマを決める:「今回は書類だけ」「今回は台所だけ」と、やることを絞る
  • 電話やオンラインで済むことは先に済ませる:査定や見積もりの相談、役所の手続きの確認など
  • 立ち会いなしで対応してくれる業者を選ぶ:鍵の預け方や、作業後の写真報告ができるか確認する
  • 近所の方や親戚に、連絡先を伝えておく:何かあったときに連絡をもらえるようにする

実家じまいを先延ばしにすると起きること

「いつかやらなきゃ」と思いながら、そのままにしてしまう気持ちも分かります。ただ、先延ばしにすると次のようなことが起きやすくなります。

  • 家が傷む:人が住まない家は、換気不足で湿気やカビ、雨漏りが進みやすい
  • お金がかかり続ける:固定資産税、火災保険、光熱費の基本料金、管理費
  • 近所とのトラブル:庭木や雑草、害虫、不審者の侵入
  • 税金が重くなる可能性:管理が不十分な空き家は、自治体から指導を受け、「管理不全空家」等に指定されると固定資産税の住宅用地特例が外れる場合がある
  • 相続が複雑になる:名義を放置すると、次の世代で相続人が増え、話し合いが難しくなる
  • 税金の特例が使えなくなる:3,000万円控除などには期限がある

全部を急ぐ必要はありませんが、「名義の確認」と「家族での話し合い」だけは、早めに始めておくと安心です。

実家じまいで後悔しないための3つのポイント

1. 親や家族の気持ちを置き去りにしない

実家には、家族それぞれの思い出があります。効率だけで進めると、あとで「あの写真、残しておけばよかった」と後悔することも。残したい物を先に聞いておきましょう。

2. 一人で抱え込まない

窓口役は一人でも、作業や費用はきょうだいで分担できます。業者や専門家の手を借りることも、立派な選択肢です。

3. 「決めること」と「調べること」を分ける

売るかどうかを決める前に、査定で価値を知る。墓じまいを決める前に、お寺に相談してみる。調べることを先に済ませておくと、家族で話し合うときの材料になります。

実家じまいを始める前のチェックリスト

  • □ 家族(きょうだい)と、実家の今後について一度話した
  • □ 実家の名義人を確認した
  • □ 固定資産税の金額を把握している
  • □ 重要書類(通帳・権利証・保険証券)の場所が分かる
  • □ 車・お墓・庭など、家以外に整理が必要なものを書き出した
  • □ 帰省できる頻度と、使える予算を確認した
  • □ 実家の今の価値(査定額)の目安を知っている

実家じまいのよくある質問

Q. 実家じまいは何年くらいかかりますか?

家の状況や家族の事情によって大きく違いますが、片付けから売却まで、半年〜数年かかることもあります。急がなくて大丈夫ですが、相続登記(3年以内)や税金の特例など、期限のあるものは先に確認しておきましょう。

Q. 親が元気なうちに実家じまいを始めてもいいですか?

もちろんです。親が元気なうちに話し合えると、親の希望を聞きながら進められ、後悔が少なくなります。いきなり「片付けよう」ではなく、「これからどうしたいか聞かせて」と気持ちを聞くところから始めてみてください。

Q. 荷物が残ったままでも家は売れますか?

売れる可能性はあります。不動産会社の「買取」なら、荷物や家財が残ったまま引き取ってもらえることもあります。ただし価格や条件は会社によって違うので、複数社に確認しましょう。

Q. きょうだいと意見が合わないときは、どうすればいいですか?

反対の理由を聞いてみましょう。「思い出があるから」「お金のことが心配」「親戚の目が気になる」など、理由によって解決策が変わります。その場で結論を出さず、時間をかけて話し合って大丈夫です。

Q. 実家じまいの費用は誰が払うのですか?

決まりはありません。相続人で分担する、実家を売ったお金から払う、などの方法があります。後でもめないよう、最初に家族で話し合っておくのがおすすめです。

まとめ:実家じまいは、気持ちを聞くことから

実家じまいは、家族で話し合う → 名義を確認する → 相続の手続き → 片付け → 家の周りの整理 → 家をどうするか決める → 税金・手続き、の順に進めます。

やることは多いですが、一度に全部を終わらせる必要はありません。まずは家族の気持ちを聞くこと、そして実家の名義を確認すること。この2つから始めてみませんか。一つ進めば、次にやることが自然と見えてきます。一人で抱え込まず、家族や専門家の手も借りながら、あなたのペースで進めていきましょう。

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」、国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、国土交通省「空き家対策」

今の悩みに合わせて、次に読む

アイキャッチ写真:Viviana Nysaether / Unsplash

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